『漱石山房記念館だより』は、新宿区にある『漱石山房記念館』が令和元年9月から年間3回程度発行しています。
各号に特集記事が掲載されていて、多方面から漱石とその周辺を知ることができます。 各号の特集の簡単な内容説明です。
第1号 漱石山房記念館開館2周年を迎え、半藤末利子名誉館長と吉住健一新宿区長との対談が掲載されています。半藤末利子氏は漱石の孫にあたります。
第2号 ブラウザゲーム『文豪とアルケミスト』のプロデューサー谷口晃平氏へのインタビュー
第3号 下掛室生流能楽師 安田登氏へのインタビュー
漱石の作品の中で、「能」が影響している部分などについて話されています。
第4号 ①アンソロジスト・文芸評論家 東雅夫氏の寄稿
東京帝国大学英文学科の講師であった漱石と前任者のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)には、「おばけずき」という共通点があったそうです。
②都留文科大学名誉教授 関口安義氏の松岡譲についての寄稿(松岡譲は漱石の長女と結婚した漱石の門人)
第5号 ①津田清楓の孫にあたる高橋りえ子氏へのインタビュー
津田清楓は、漱石の絶筆となった『明暗』などの装幀を手掛けた画家
②漫画家 たもつ葉子氏へのインタビュー
たもつ葉子氏のマンガ『真夜中のオカルト公務員』の中に『漱石山房記念館』が登場します。
第6号 マンガ・コラムニスト 夏目房之介氏の寄稿
夏目房之介氏は漱石の孫にあたる。「漱石の孫」という立場について書かれています。大きなプレッシャーがあったようです。
第7号 画家・版画家・装幀家 金井田英津子氏へのインタビュー
金井田英津子氏は、『夢十夜』の文学画本作者。
第8号 ①作家 森まゆみ氏の寄稿
『千駄木の漱石』など著書多数
②イラストレーター 大高郁子氏へのインタビュー
Web『新小説』に「漱石クロニクル―絵で読む夏目漱石の生涯―」を連載
③作家 奥泉光氏の寄稿
漱石フリークとして知られる奥泉光氏が漱石の魅力を語ります。
第9号 作家・雑誌編集記者 矢島裕紀彦氏の「夏目家の名づけについて」の寄稿
矢島裕紀彦氏の著書として、『心を癒す漱石の手紙』、『夏目漱石100の言葉』などがあります。
第10号 エッセイスト 芥川耿子(あくたがわてるこ)氏の寄稿
芥川龍之介が漱石からもらった「風月相知」という額にまつわる話を寄稿しています。
第11号 開館5周年を迎えて開催されたトークイベント「夏目家、松岡家、そして夫 半藤一利」の様子が掲載されています。 元フジテレビアナウンサーの野間脩平氏が聞き手となり、半藤末利子名誉館長が話すスタイルとなっています。
第12号 手紙文化研究家・エッセイスト 中川越氏の寄稿
晩年の漱石が芥川龍之介と久米正雄に宛てた手紙を、漱石書簡中の最高傑作として紹介しています。
第13号 文筆家 門賀美央子氏の寄稿
~ 倫敦塔今昔 漱石を通して ~
漱石がロンドンから帰国してから書いた短編小説『倫敦塔』の紹介などです。『倫敦塔』は、代表作として挙げられることはないが傑作とおっしゃっています。
『倫敦塔』には幻想的という言葉がマッチするようです。「漱石山房記念館 所蔵資料の紹介№13」では、夏目漱石デスマスクをとり上げています。
第14号 漫画家 香日ゆら氏へのインタビュー
漫画で描く漱石
香日ゆら氏は漱石関連の本を400冊以上持っているそうです。香日氏の作品『JK 漱石』などについて話されています。
第15号 ライター・編集者の南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)氏の寄稿
~ 図書館で「吾輩本」を探す ~
各地の図書館や文学館の書庫の取材の様子、南陀楼氏が三康図書館で初めて見た『漱石警句集』や「吾輩本」のことなどが書かれています。
第16号 作家の堀 真潮(ほり・ましお)氏の寄稿
~ 御米という女 ~
漱石前期三部作の最後の作品『門』に登場する御米について考察しています。御米は、『門』を読む人によって、また最初に『門』を読んだときと二回目で人物像が変わるという考察には頷けるものがあります。